マウスピース矯正中の虫歯・歯周病を防ぐには?歯磨きとお手入れのポイント

マウスピース矯正中の虫歯・歯周病予防|歯磨きとお手入れ|石野歯科医院

この記事のポイント

  • マウスピース矯正中は、歯と装置の両方を清潔に保つことが大切です。
  • 食後は歯を清掃してから装置を着け直し、歯と歯の間の汚れも取り除きます。
  • 装着中は基本的に水を選び、糖分や酸を含む飲み物を長時間飲み続ける習慣に注意します。
  • 歯磨き粉や洗浄剤は、歯に使うものと装置に使うものを区別して選びます。
  • 矯正の経過確認に加えて、虫歯・歯ぐきの検査と必要なクリーニングを受けましょう。

マウスピース矯正中も、虫歯・歯周病の予防が必要です

マウスピース矯正は、食事や歯磨きのときに装置を取り外せます。しかし、「取り外せるから虫歯にならない」「矯正中は歯ぐきの管理をしなくてよい」というわけではありません。

歯に付着するプラークは、細菌を含む汚れです。十分に取り除かずにいると、虫歯や歯ぐきの炎症につながります。[1・2]

また、食べかすや糖分が残ったまま装置を着けると、歯とマウスピースの間に汚れが残ってしまうことがあります。[3]

大切なのは、「歯をきれいにすること」と「装置をきれいにすること」の両方です。

食後の基本は「歯を清掃してから装置を着け直す」

食事や間食の際には、マウスピースを外します。食後は歯を清掃し、装置も清潔にしてから着け直しましょう。[3・4]

装着時間を守ることは大切ですが、汚れを残したまま装着する習慣が続くことも避けたいところです。食事・清掃・再装着を一つの流れとして考えると、毎日の生活に取り入れやすくなります。

歯の表・裏・噛む面と、歯ぐきとの境目を磨く

前歯の見える面だけでなく、歯の裏側、奥歯の噛む面、歯ぐきとの境目まで確認して磨きます。

歯の表面にアタッチメントという小さな突起が付いている場合は、その周囲にも毛先を届かせましょう。届きにくい場所は、歯科医院で歯ブラシの当て方を確認してください。

汚れを落とそうとして、強くこする必要はありません。歯や歯ぐきを傷つけないよう、磨く場所に毛先を合わせて丁寧に清掃します。

歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシで清掃する

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを十分に取り除けないことがあります。

1日1回は、フロスなどで歯間清掃を行う習慣をつけましょう。食べ物が挟まったときだけでなく、歯の側面に付着したプラークを落とすことが目的です。[1]

歯間ブラシが向いている場所もありますが、狭いところに無理に押し込むことは避けてください。お口に合う道具やサイズ、使い方を歯科医師・歯科衛生士に確認すると続けやすくなります。

フッ素入り歯磨き粉は、どう使えばよいですか?

虫歯予防には、フッ化物、いわゆるフッ素を配合した歯磨き粉の使用が勧められています。

国内4学会の提言では、6歳以上から成人・高齢者について、次の使い方が示されています。[5]

項目 推奨される使い方
フッ素濃度 1,400〜1,500ppmF程度。製品では「1450ppm」などの表示が目安です
使用量 歯ブラシ全体に1.5〜2cm程度
使用するタイミング 就寝前を含めて1日2回
磨いた後 歯磨き粉を軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回

矯正中は、これに加えて食後の再装着前の清掃も行います。

お子さまや、うがい・吐き出しが難しい方では使い方の調整が必要です。年齢やお口の状態に合った方法を確認してください。

歯に使う歯磨き粉と、マウスピースを洗うための製品は、同じものと考えないことも大切です。

装置への歯磨き粉の使用可否は製品の指示を確認し、自己判断で研磨力の強い製品などを使わないようにしましょう。

装着したまま飲んでよいものは?基本は「水」です

マウスピースを装着している間の水分補給には、原則として常温または冷たい、糖分や風味を加えていない水を選びます。

コーヒーやお茶、ジュースなどは、基本的に装置を外して飲みましょう。着色だけでなく、糖分・酸・温度にも注意が必要です。[3・4・6]

飲み物 気を付けたいこと
糖分や風味を加えていない水 装着中の水分補給の基本です。熱いお湯は避けます
コーヒー・お茶 無糖でも着色や温度の影響があるため、基本的には外して飲みます
ジュース・スポーツ飲料・砂糖入りの飲み物 糖分や酸に注意し、装着したまま少しずつ飲み続けることは避けます
無糖の炭酸飲料・フレーバー付き飲料 無糖でも酸を含む場合があります。「砂糖がないから水と同じ」とは考えません

酸によって歯の表面が溶ける「酸蝕」は、細菌が関与する虫歯とは異なる問題です。砂糖の有無だけで、歯への影響を判断することはできません。[6]

酸味の強い飲食物を取った後は、まず水で口をすすぎましょう。酸蝕を指摘されている方は、歯磨きのタイミングも含めて担当医に確認してください。

外出先で歯磨きができないときは?

仕事や外出先で、すぐに歯を磨けない場面もあると思います。

その場合は、一時的な対応として、水で口をよくすすぎ、マウスピースも流水ですすいでから装着します。歯磨きができる環境になったら、早めに歯と装置を清掃してください。[3・4]

水ですすぐことは、歯磨きやフロスの代わりではありません。毎回うがいだけで済ませる習慣にはしないようにしましょう。

携帯用の歯ブラシ、歯磨き粉、フロス、装置のケースをまとめて持ち歩くと対応しやすくなります。

一方、磨けないことを理由に長時間外したままにするなど、使用方法を自己判断で変えないことも大切です。勤務形態などで清掃と装着時間の両立が難しい場合は、治療を受けている歯科医院に相談してください。

マウスピース本体は、どう洗えばよいですか?

装置も毎日清掃します。短期間で新しいものへ交換する場合でも、お手入れが不要になるわけではありません。

やわらかいブラシを使って内側・外側の汚れをやさしく落とし、水または製品が指定する温度のぬるま湯ですすぎます。洗浄剤を使用するときは、その装置に対応した製品を選び、指定された濃度・時間・すすぎ方を守ってください。[4]

歯磨き粉や洗浄剤は、装置の指示を確認する

歯磨き粉の使用を案内している製品もあるため、「すべてのマウスピースで歯磨き粉は禁止」と一律には言えません。

ただし、歯に使える製品なら何でも装置に使える、という意味ではありません。使用している装置の説明書と、医院からの指示を優先してください。

熱湯や自己流の漂白・消毒、指定されていない薬液へのつけ置きは避けましょう。汚れやにおいが落ちない場合も、強く削るように磨くのではなく、装置を持参して相談してください。

外した装置は、清潔なケースへ

食事の間などは、装置をケースへ保管します。

ティッシュに包んで置いたり、机の上へ直接置いたりせず、ケース自体も清潔に保ちましょう。紛失や破損が起きた場合は、自己判断で次の装置へ進めず、医院へ連絡してください。[4]

洗口液だけで、歯磨きの代わりになりますか?

なりません。

洗口液には、虫歯や歯ぐきの炎症の予防を補助するもの、口臭を一時的に抑えるものなどがあります。しかし、歯磨きや歯間清掃の代わりにはなりません。[7]

口の中がすっきりしても、歯に付着したプラークが十分に落ちたとは限りません。歯ブラシやフロスなどで汚れを取り除くことを基本にしましょう。

洗口液を追加する場合は、目的に合う製品と使用するタイミングを歯科医院で確認してください。

歯ぐきからの出血や腫れを「矯正中だから」と放置しない

歯ぐきからの出血は、歯ぐきの炎症や、磨き方、装置が当たることなどで起こる場合があります。

歯磨きのたびに出血する、歯ぐきが腫れる、口臭が続くといった変化は、「歯が動いている証拠だから大丈夫」と決めつけないでください。[2・8]

出血を怖がって清掃をすべてやめるのではなく、強くこすらず、やさしく磨きます。繰り返す場合や、痛み・腫れがある場合は、原因を確認してもらいましょう。

当院で行う検査や治療については、石野歯科医院の歯周病治療をご覧ください。

なお、強い痛み、頬の腫れ、発熱などがある場合は、次の予約まで待たずに連絡してください。腫れに加えて息苦しさや飲み込みにくさがある場合は、通常の予約を待たず、救急医療を利用してください。[9]

矯正の経過確認と、虫歯・歯ぐきのチェックは両方必要です

矯正の診察では、装置が合っているか、歯が計画に沿って動いているか、噛み合わせに問題がないかを確認します。[10]

それと併せて、虫歯や歯ぐきの状態、磨き残しの確認、必要なクリーニングを行うことも大切です。

毎日歯を磨いていても、歯石を自分の歯ブラシで取り除くことはできません。必要に応じて、歯科医院で除去します。[8]

「矯正で通っているから、歯のクリーニングも毎回すべて済んでいる」とは限りません。

同じ日に確認・清掃する場合もあれば、別の予約が必要な場合もあります。通院間隔も一律ではなく、虫歯のなりやすさや歯ぐきの状態に合わせて相談しましょう。

虫歯が見つかったら、矯正は続けられますか?

虫歯の場所や進み具合、必要な処置によって対応は異なります。

経過を確認しながら予防処置を行う場合もあれば、歯の治療を優先する場合もあります。詰め物などで歯の形が変わると、装置の適合確認や治療計画の調整が必要になることも考えられます。

そのため、矯正中に別の医院で治療を受ける場合も、マウスピース矯正中であることを伝え、担当医同士で必要な情報を共有することが大切です。

「矯正が終わるまで虫歯を我慢する」「自己判断ですべての装置を中止する」のではなく、まず担当医へ相談してください。

当院の診療については、虫歯治療を含む一般歯科診療でもご案内しています。

よくあるご質問

マウスピース矯正中は虫歯になりやすいですか?

マウスピース矯正をすると必ず虫歯になりやすくなる、というわけではありません。取り外して歯を磨ける一方、汚れや糖分が残った状態で装着する習慣は、虫歯のリスクにつながります。歯と装置の両方を清潔にすることが大切です。[3]

外出先で歯磨きができないときは、どうすればよいですか?

一時的な対応として、水で口をよくすすぎ、マウスピースも流水ですすいでから装着し、歯磨きできる環境になったら早めに清掃してください。うがいだけで毎回済ませるのではなく、携帯用の歯ブラシやケースを準備しておくと続けやすくなります。[3・4]

マウスピースを着けたまま、コーヒーやお茶を飲めますか?

基本的には装置を外して飲みます。砂糖が入っていなくても着色や温度の影響があり、糖分や酸を含む飲み物にも注意が必要です。装着中の水分補給には、原則として常温または冷たい、糖分や風味を加えていない水を選び、装置ごとの指示に従ってください。[3・4・6]

洗口液を使えば、歯磨きやフロスを省略できますか?

洗口液は歯磨きや歯間清掃の代わりにはなりません。製品によって虫歯や歯ぐきの炎症の予防を補助する役割はありますが、歯に付着した汚れを歯ブラシやフロスなどで落とすことが基本です。[7]

矯正中に歯ぐきから血が出たら、歯磨きをやめたほうがよいですか?

出血があるからといって清掃をすべてやめるのではなく、強くこすらず、やさしく磨いてください。出血は歯ぐきの炎症や磨き方、装置が当たることなどで起こります。繰り返す場合や腫れ・痛みがある場合は、歯科医院で原因を確認してください。[2・8]

石野歯科医院では、歯並びと歯・歯ぐきの健康を併せて考えます

石野歯科医院では、矯正治療だけでなく、虫歯や歯周病の診療も行っています。

歯並びを整える過程で、歯や歯ぐきの健康を損なわないようにすることも大切です。磨きにくい場所や、食後のお手入れで困っていることがあれば、診察時にお伝えください。

歯ブラシの当て方、歯間清掃の道具、装置のお手入れなど、お口の状態と生活に合った方法を相談していきましょう。

治療の流れや費用、主なリスクについては、石野歯科医院のマウスピース矯正をご覧ください。

まとめ|歯と装置、どちらも清潔にして治療を続けましょう

マウスピース矯正中の虫歯・歯周病予防では、食後の清掃、歯間清掃、フッ素入り歯磨き粉の使用、飲み物の選び方、装置のお手入れが大切です。

ただし、毎日気を付けていても、すべての問題を自分だけで確認できるわけではありません。定期的な診察と、必要なクリーニングを組み合わせましょう。

歯並びだけでなく、治療後も使い続ける歯と歯ぐきを守ることが大切です。 出血や腫れ、お手入れの難しさなど、気になることは早めにご相談ください。

参考資料

[1]米国歯科医師会(ADA):フロスと歯間清掃

[2]日本歯周病学会:歯周病Q&A

[3]インビザライン公式:治療中の装着・飲食・清掃について

[4]インビザライン公式:マウスピースのお手入れ

[5]日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会:フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法

[6]米国歯科医師会(ADA):飲食物の酸と歯への影響

[7]米国歯科医師会(ADA):洗口液について

[8]米国国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR):歯周病の予防・症状・治療

[9]英国国民保健サービス(NHS):歯の感染・膿瘍と受診の目安

[10]日本矯正歯科学会:マウスピース型矯正装置による治療に関する見解

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この記事の執筆・監修

石野 貴嗣 院長

石野 貴嗣

石野歯科医院 院長・歯科医師

石野歯科医院の院長。大阪歯科大学卒業。インプラント、マウスピース矯正(インビザライン)、審美歯科を専門とし、患者さま一人ひとりに寄り添った丁寧な治療を心がけています。

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