歯みがきはどのタイミングで磨くといいか
皆さんは1日どのタイミングで歯磨きを行っていますか?歯磨きは毎食後磨くといいと思われがちですが、それ以外にも朝の歯磨きが重要と言われています。効果的な歯磨きをするには、特に起床後すぐと夜就寝前の歯磨きは欠かせません。今回はなぜそのタイミングで歯磨きが重要なのか、また正しい歯磨きとは詳しく解説します。
歯磨きのタイミング①:起床後すぐ
起床後すぐの口腔内は細菌が溜まっており、口腔内が酸性に偏っている状態のため、歯磨きに最も適したタイミングです。口腔内に溜まった細菌を取り除かない状態を放置すると、どんどん歯の表面は溶けていきます。起床後すぐに歯磨きを行うことで歯のエナメル質を保護することが出来ます。また、朝食を食べた後も歯の表面に汚れは付着しているため、なるべく朝食後も歯磨きを行うようにしましょう。同時に
歯磨きのタイミング②:就寝前
歯磨きのタイミング③:毎食後30分
歯磨きのタイミング3つ目は、食後30分です。食べた後の口腔内は歯の隙間などに食べガスが残っている状態のため、そのまま歯磨きをせず放置しておくとむし歯菌や歯周病菌の温床となり、口腔内の健康維持が難しくなります。食後はなるべく時間を空けず歯磨きをして、口腔内の食べかすなど虫歯の原因になるものを取り除くようにしましょう。
特に朝の歯磨きは重要
先述の通り、睡眠中は口腔内の唾液量は減少します。唾液には口腔内の清掃を助け、細菌の繁殖を防ぐ役割などさまざまな役割がありますが、唾液の分泌量が減少することで、その働きが弱くなり、結果的に細菌が繁殖しやすい環境となります。また睡眠時に口呼吸をしていると口腔内の乾燥が進みます。口腔内の乾燥は細菌や虫歯の原因となる酸が増え、歯のエナメル質を侵す可能性があります。起床時にのどが痛いなど口呼吸の兆候がある方は薬局で販売している鼻呼吸テープを使用すると、口呼吸予防に繋がります。
起床時の歯磨きのポイント
温かい水で口をすすぐ
朝一、いきなり歯磨きをするのではなく、まずは温かい水で口をゆすぎましょう。こうすることで唾液の分泌が促進され、口腔内が活性化します。
やさしく磨く
寝起きは口腔内が敏感な状態ですので、歯ブラシは普段よりやさしく動かしましょう、力を入れすぎると、歯茎や歯のエナメル質を傷つける可能性があります。
歯ブラシの種類
口腔内の歯ブラシは柔らかい歯ブラシを使用しましょう。実際に硬い歯ブラシは、歯茎を傷つけるリスクがあるため、柔らかい歯ブラシの使用が推奨されています。特に歯ブラシの毛先が細く、柔らかいものは歯と歯の間や、歯と歯茎の際も磨きやすく、効果的です。
また前歯などはタフトハブラシを使用するとヘッドが大きい歯ブラシでは磨ききれない細かい部分も磨くことができます。
正しい歯磨きのポイント
歯磨きを行うにあたり重要なのは1歯に対してどのくらい丁寧に歯ブラシを当てるかが重要になってきます。そのため5~10分磨いたからOKではなく、1歯毎にしっかり歯ブラシを当てているかが大切です。また歯磨きの際は歯だけを磨くのではなく。歯と歯ぐきの際の部分(歯頚部)や、舌も一緒に磨くようにしましょう。ほとんどの方が歯頚部を磨けておらず、磨き残しが多いです。歯頚部の磨き残しは歯茎の腫れや虫歯や歯周病の原因にもなります。また一緒に舌も磨くようにしましょう。舌を磨くと口臭予防の他、誤嚥性肺炎などの病気の予防や腸内環境の改善にも繋がります。
歯ブラシの重要性
適切な歯ブラシとブラッシング方法を知ることで、口腔衛生を維持し、虫歯や歯周病を予防するために重要であり、口腔ケアにおいて欠かせない存在です。そもそも歯ブラシの役割は歯の表面や歯と歯茎の隙間に付着したプラーク(歯垢)や食べかすを除去することで、口腔内の細菌の繁殖を抑え、口臭やむし歯のリスクを低減します。また歯周ポケットや歯と歯茎の境目など、ブラッシングしにくい部分までしっかりと清掃することができ、歯垢や歯石の蓄積を防ぎ、歯周病予防にも繋がります。
しかしいくら歯ブラシを頑張っていても間違ったブラッシング方法や硬いブラシを使用したまま継続していると歯ぐきや歯の表面を傷つける恐れがあります。正しいブラッシング方法を知ることで、歯のエナメル質を傷つけずにさらに効果的な歯ブラシを行うことが出来、口腔内をより清潔に保つことができます。
歯ブラシの持ち方・当て方も大切
歯ブラシの持ち方
歯ブラシの基本的な持ち方は「ペングリップ」と「パームグリップ」の2種類あります。「ペングリップ」は、鉛筆を持つときのような持ち方で、歯ブラシを細かく動かすことができ、1歯ずつ丁寧に磨くことができるのが特徴です。一方、「パームグリップ」は、歯ブラシの柄の部分をギュッと握りしめるような持ち方で、力が入りすぎてしまうため歯茎や口腔内を傷つけてしまう恐れがあるため「ペングリップ」での歯磨きがおすすめです。
歯ブラシの当て方・動かし方
歯ブラシの当て方は部位によって異なります。特に前歯と奥歯は磨き方は工夫が必要です。以下のような磨き方を意識しながら磨くようにしましょう。
奥歯の場合 奥歯の噛み合わせの面は歯ブラシが行き届きにくく、磨き残しに注意が必要です。磨く際は奥から前に歯ブラシを動かすようにしましょう。
前歯の裏側の場合 前歯の裏側はカーブしているので歯ブラシを横向きにして磨くとどうしても当たらない部分がでてきます。そのため歯ブラシをたてて歯ブラシのま先やかかとを上手に使いながら磨くようにしましょう。
歯と歯茎の境目 歯と歯茎の境目を磨くときは歯ブラシを45度の角度にし、細かく前後に動かしてみがきましょう。
また歯ブラシの動かし方は5~10mmの幅で小刻みに1歯か2歯ずつ磨くようにしましょう。
また力の入れ具合は、ブラシの毛先が歯と歯の間に留まる程度で、歯ブラシの毛先が開きすぎは力のいれすぎでもあり、歯と歯の間にとどまっていない状態も弱すぎのため、おおよそ150~200gの力加減で磨くようにしましょう。
磨き残しが多い場所はより丁寧に
特に磨き残しが多いといわれているのは、以下の3か所です。
1:歯と歯の間
2:歯と歯ぐきの境目(歯頚部)
3:奥歯の噛み合う面・奥歯の後ろ
【歯と歯の間】の磨き方については歯ブラシの先端の毛先をいれ、小刻みに動かすようにしましょう。ただこの磨き方だけでは完全に汚れを落とすのは難しいため、歯ブラシと併用してフロスを使うようにしましょう。フロスを使う際は歯ブラシの前に使用すると歯磨き粉が浸透しやすく効果的です。続いて磨き残しが多いとされている【歯と歯ぐきの境目】ですが、歯周ポケットという段差があり、歯垢が溜まりやすい場所です。ここを磨く際は歯ブラシを斜め45°にあてて小刻みに動かすようにしましょう。(強い力で磨くと歯ぐきを傷つける恐れがあります)またタフトブラシで歯茎との境目を磨く方法もおススメです。【奥歯の噛み合う面・奥歯の後ろ】の磨き方は歯ブラシがどうしても届きにくいです、歯ブラシを大きく動かさず、1歯ずつ毛先を歯に当てることを意識しましょう。奥歯の後ろはタフトブラシで磨く方法もオススメです。
歯ブラシの交換の時期
歯ブラシの交換時期の目安は毛先が開いてきたらと言われていますが、最低でも1か月に1回は交換するようにしましょう。普段力強く磨いている方や、柔らかい歯ブラシを使用している方は毛先が開きやすく、この状態になると毛に弾力が無くなり、汚れを落とす力が弱くなります。ちなみに(株)ライオンでは毎月歯ブラシを交換する習慣をつけるように毎月8日を歯ブラシ交換デーと制定しています。
歯みがきと一緒に・・・
①フロス
フロスは歯と歯の間など歯ブラシだけでは落としきれない汚れを落とす役割をしています。ある研究結果では歯ブラシのみと歯ブラシとフロスを併用した場合でプラーク(歯垢)の除去率が約20%ほど差があり、フロスを併用した方がより口腔内の清掃性が高いことが分かっています。
歯磨きの後にフロスというイメージがあると思いますが、実は歯磨き前にフロスをすることで歯と歯の汚れを事前に取り除き、歯磨き粉の成分が歯と歯の間のもともと汚れが溜まっていた部分にも行き渡ります。
②細かいところはタフトブラシで
タフトブラシは、毛束が小さく細くなっているので、歯や歯茎のカーブにもフィットしやすく、歯と歯の隙間や歯と歯茎の間にも入り込みやすく、通常の歯ブラシが届きにくいところも磨くことが出来ます。また叢生(そうせい)という歯が前後に重なっている方や、乳歯と永久歯が混在している時期(混合歯列期)の凹凸が多くなった時期にも使用すると磨き残しを防ぎやすくなります。
③マウスウォッシュを使うと尚、効果的
普段の歯磨きなどの口腔ケアはもちろんですが、最後に薬用マウスウォッシュを使用すると尚効果的です。マウスウォッシュは使用するものにもよりますが、主な効果として口腔内細菌の減少、口臭予防、虫歯・歯周病予防などの効果があげられます。マウスウォッシュは普段歯ブラシでは行き届かない隙間にも効果を発揮します。当院でおすすめしているマウスウォッシュは【コンクールF】です。使用方法は当院でお伝えしているので気になる方はお気軽にご相談ください。
歯磨き粉も重要
毎日の歯磨きは健康な歯を維持するために重要な習慣ですが、ただ磨くだけでなく使う歯磨き粉も同じく大切です。歯磨き粉はさまざまな種類がありますが、何を優先して選ぶべきか、また正しい歯磨き粉の使用方法とは、併せて解説していきます。
歯磨き粉の選び方
虫歯予防に効果的なフッ素入り歯磨き粉
フッ素は歯の表面を強化し、虫歯を予防する効果があります。フッ素濃度や、使用量は使用する方の年齢に応じて変わっていきます。1.000ppm以上のものをしようするのがおすすめです。正しい使い方を理解し、効果的なブラッシングを行いましょう。
歯周病予防に効果的な歯磨き粉
歯周病予防には歯茎の健康をサポートする成分が含まれた歯磨き粉を選ぶのがおすすめです。その効果が含まれているものとして、代表的なものが「トリクロサン」や「フッ化物」です。これらは歯茎の炎症を抑え、歯周病予防に役立ちます。
ホワイトニング効果が期待できる歯磨き粉
歯の黄ばみやくすみが気になる方はホワイトニング効果が含まれている歯磨き粉がおすすめです。ホワイトニング効果のある歯磨き粉は研磨剤や酸化剤を使用しており、歯の表面を清潔に保ち、歯の色を明るくする効果があります。しかし研磨剤の効果が強すぎるものは時に、歯の表面のエナメル質を傷つけることがあるため、優しい成分のものを選びましょう。
口臭予防に効果的な歯磨き粉
口臭が気になる方は、口臭予防に特化した歯磨き粉を選ぶといいでしょう。これらには口腔内の細菌を減らす成分や消臭成分が含まれています。口腔内の乾燥が原因で口臭が気になる方は、保湿成分が含まれているものがおすすめです。
歯磨き粉の効果的な使い方
歯磨き粉は少量で十分
歯磨き粉はたっぷり使う方が多いですが、実は少量で十分です。歯磨き粉の適量は米粒大で、実際にその量で歯や歯茎に優しく磨くことが出来ます。逆に多く使いすぎると研磨剤やフッ素成分が過剰に作用し歯や歯茎を傷める原因にもなります。
3分間以上の丁寧な歯磨き
歯みがきは時間をかけて行うことが大切です。歯磨き粉を使った歯磨きは最低でも3分行うことが目安とされています。特に歯と歯の間や歯茎の境目など実際に磨き残しが多い部分はよりしっかりと磨くことで効果的に汚れを落とし、むし歯や歯周病予防び繋がります。
正しいブラッシング方法を守る
歯磨き粉を使うだけでなく、正しいブラッシング方法を守ることが大切です。先述の通り、歯ブラシは45度の角度で歯茎に当て、優しく小刻みに動かすようにしましょう。歯の表面を磨いて終わりではなく、歯の裏側や噛み合わせの部分も忘れないようにしっかり磨きましょう。
定期検診も重要
定期検診のメリット
定期的に歯医者の定期検診に通うことで、きれいな口腔内を維持できます。定期的に歯科医院にてクリーニングを行うことが重要です。定期検診を受けることで以下のようなメリットがあります。
早期治療で歯へのダメージを留められる
定期検診に通うことで、自分では気づかない口腔内の問題を早期に発見し治療を受けることができます。早期治療を受けることで、虫歯や歯周病の進行を防ぎ、歯へのダメージを最小限に抑えることができます。
全身の病気の予防にもつながる
定期検診に通うことで、口腔内の健康を保つことができます。また口腔内には歯周病の原因となる多くの細菌が存在し、歯周病は全身疾患とも関連しているため、同時に全身の健康にも悪影響を与えることがあります。定期的に受診し、早期治療することで、心臓病や糖尿病などの全身の病気のリスクを低減しましょう。
正しい歯磨き指導を受けられる
歯医者の定期検診では、正しい歯磨きの指導を受けることができます。普段何気なく行っている歯磨きでも磨き残しなどがあるかもしれません。歯科健診いて自分の口腔内にあった適切な歯磨きの仕方や、歯ブラシを教えてもらうことでご自宅でも効果的なケアが可能になります。
歯科医院で歯磨き指導を行う理由
定期検診でブラッシング方法を患者様にお伝えする理由はまずは患者さまに口腔ケアの重要性を伝えるためです。多くの方は普段歯ブラシを使っているものの、適切なケアや重要性については完全に理解していなかったり、知識が不足していることがあります。歯科医院ではその知識を提供することで、患者に口腔ケアの重要性を理解していただき、正しい口腔ケアを日常生活に取り入れることを促しています。
最後に
歯磨きは食後だけという認識の方が多いですが、特に起床時の歯磨きは口腔内を一掃でき、歯を細菌から、守ることができ虫歯や歯周病予防に繋がります。毎日の習慣として正しい歯磨きの方法で歯磨きを行い健康な口腔内を維持しましょう。当院では実際磨き残しが多かった部分をどのように磨いていくと磨き残しをなくすことが出来るのか、患者様のその時の口腔内の状態にあわせた歯磨き指導を行っております。お口に関するお悩みなどございましたらお気軽に当院へご相談ください。