1.オフィスホワイトニングとは
歯科医院で行う専門的な歯のホワイトニング(歯を白くする)治療のことです。歯科医師や歯科衛生士といったプロが施術を行うため、色ムラのないキレイな白さが期待できます。 専用の薬剤を歯の表面に塗布し、特定の波長の光(レーザーやLEDなど)を照射します。 この光が薬剤の成分と反応し、歯の表面に付着している色素を分解・除去することで歯を白くします。自宅でおこなうホワイトニングよりも高濃度の、ジェルやペースト状といったホワイトニング剤(主に過酸化水素や過酸化尿素)を使用します。一度の施術でもホワイトニング効果を実感しやすく、短期間で白くすることができるので、「すぐに白くしたい」という方に適していると言えるでしょう。その他にも自分で施術することに自信がない方や、手間をかけずにキレイな白さを手に入れたい方にもおすすめです。
2.オフィスホワイトニングのメリット
2-1.1回の施術でも効果を実感しやすい
オフィスホワイトニングは過酸化水素の濃度が高い薬剤を使用するため、1回の施術でもしっかりと歯を白くできます。ホームホワイトニングの場合は過酸化水素の濃度が低い薬剤を使用するので、効果を実感できるまで2週間ほどかかりますが、オフィスホワイトニングなら一気に白くすることが可能です。大切なイベントまでに時間がない方、短期間で白くしたい方にオフィスホワイトニングは適しています。
2-2. 手間がかからない
ホームホワイトニング、セルフホワイトニング、デュアルホワイトニングは自分の手でホワイトニングをする必要があります。特にホームホワイトニングとデュアルホワイトニングは、自宅で毎日決まった時間だけホワイトニングをする必要があるため、「毎日必ずやる」ということを面倒に感じる人や、「手間をかけたくない」という人には適していません。オフィスホワイトニングなら、歯科医院に行けば施術はすべてやってもらえるので、手間がかからず、手軽に白い歯を手に入れることができます。
2-3. ムラのないキレイな仕上がりになる
自分で施術するホワイトニングの場合、施術に慣れていないために白さにムラができる場合があります。一方、オフィスホワイトニングは、プロである歯科医師や歯科衛生士に施術してもらえるので、白さにムラが出る心配はほとんどありません。また、施術中に痛みなどの不測の事態が起きたとしても、すぐに適切な処置を受けられる点もメリットです。
2-4.しみる症状がでればすぐ診てもらえる
オフィスホワイトニングは歯科医師、歯科衛生士が施術するのでしみる症状が出た時にすぐ診てもらえるのもメリットです。ホームホワイトングではそれが不可な為、しみることが心配な方はオフィスホワイトニングを検討してみてください。
2‐5.歯を削らずに白くできる
オフィスホワイトニングは歯を削らずに白くできます。施術は天然の歯に特殊な薬剤を塗布して、光を当てる施術方法です。そのため歯を削って被せ物をする治療方法とは異なります。ただし、適用範囲は天然の歯のみとなるため、被せ物や詰め物がある箇所は白くすることはできません。これらは削って被せなおしや詰めなおしが必要になります。
2-6.半年ほど効果が持続する
1回の施術で半年ほど効果は持続します。白さを長持ちさせるためには半年ごとの施術や、ホームホワイトニングと併用すると良いでしょう。ただし、コーヒーやワインなどを好んで飲む方は半年も経たずに色戻りすることがあります。対策としては、着色がつきやすい飲食物を避ける・ホワイトニング用の歯磨き粉を使用するなどが挙げられます。
2-7.虫歯の早期発見、治療につながる
オフィスホワイトニングを行う際、虫歯がある状態で行ってしまうと、施術中に痛みが出たり、しみる症状が出る可能性がある為、歯科治療を先に行う必要があります。そのため歯科医師、歯科衛生士がお口の中をチェックしてくれるため虫歯の発見も早期に見つけることができます。
2-8.口腔環境の改善や歯周病の予防効果が期待できる
オフィスホワイトニングを行う際、色ムラがでる可能性があるため、先に歯石を除去する必要があります。お口の中を綺麗にしてからの施術になるため、口腔環境も良くなり歯周病予防をすることができます。
3.オフィスホワイトニングのデメリット
3-1.費用が高い
オフィスホワイトニングは自由診療(全額自己負担)のため、ホームホワイトニングやセルフホワイトニングと比べて費用が高くなることが多く、オフィスホワイトニングは1回で効果に満足できる場合もありますが、希望の白さに到達できるまで複数回の施術を必要とするケースもあり、その場合は費用が高額になるので注意が必要です。
3-2.知覚過敏が起こりやすい
使用するホワイトにニング薬剤の濃度が高いため、他の治療法よりしみやすい傾向にあります。ただし、症状は1~3日ほどで治まるためそれほど心配する必要はありません。知覚過敏が起きやすい方は、事前に歯科医師または歯科衛生士に相談しておくと対処しながら施術を受けられます。
3-3.後戻りが若干早い
時間をかけてじっくりと薬剤を浸透させるホームホワイトニングと比べると色戻りが早く起こります。気になるようであれば、デュアルホワイトニングと呼ばれているホームホワイトニングと併用する方法を検討すると良いでしょう。
3-4.希望するタイミングで施術を受けられない時がある
事前に歯科治療や歯石の除去を行う必要があるため、希望するタイミングで施術を行うことができない場合があります。なので希望するタイミングまでに歯科医院でお口のチェックをしてもらう必要があります。
3-5.終了後24時間は着色しやすいものを口にしない
施術後、24時間は着色しやすいものを口に含むのは控えましょう。ホワイトニングすると、歯の表面を保護するペリクルと呼ばれる膜が剥がれている状態になるため着色がつきやすくなります。着色しやすい飲食物・趣向品はカレー、ワイン、コーヒー、タバコなどがあげられます。
3-6.差し歯などの人工の歯には効果がない
ホワイトニングは天然歯のみに効果があります。差し歯や被せものなどは白くならないため、治療をしなおす必要があります。
3-7.歯の神経が死んでいる場合も効果がない
神経を取った歯や、強打して神経が死んだ歯にも効果がありません。これらの歯には、歯の内部に薬剤を入れて漂白する方法(ウォーキングブリーチ)という治療が必要です。
3-8.効果が長持ちしにくい
オフィスホワイトニングの効果が持続する期間は3~6ヶ月ほどです。ホームホワイトニングは6ヶ月~1年ほど、デュアルホワイトニングは1~2年ほど効果が持続するので、それと比較すると効果が長持ちしにくいと言えます。施術から3ヶ月ほど経つと色が戻り始めるため、白さをキープしたい場合は再び施術を受けましょう。
4.ホワイトニングを避けた方が良い方
4-1詰め物や被せ物が多い方
詰め物や被せものが多い方は、自分の歯との色の差が目立つようになってしまいます。その部分も色を揃えるという選択肢もありますが、時間も費用もかかります。また、ホワイトニングをした歯はそのうちに色戻りをし始めるため、あまりお勧めできません。
4-2人工の歯の方(入れ歯、差し歯)
ホワイトニングは自分の歯であることが前提ですので、入れ歯、差し歯などの人工の歯を白くすることはできません。
4-3歯にヒビがある方
ホワイトニング剤の強い刺激がヒビから入り、歯がダメージを受ける可能性がありますので、避けるようにして下さい。
4-4歯の神経を抜いてしまった方
ホワイトニングは、神経が生きている歯に対して有効な方法です。神経を抜いてしまった歯や死んでしまっている歯の場合は効果がありません。その場合は、ウォーキングブリーチという歯の中に漂白剤を入れて白くする方法が可能です。
4-5変色の強い方(抗生物質の影響)
抗生物質の影響で歯の変色が強い方は、ホワイトニングの効果が出にくいと言われています。この場合、神経を取ってウォーキングブリーチをするという方法もありますが、一度歯医者さんに相談してみることをおすすめします。
5.ホワイトニングを行ってはいけない方
5-1無カタラーゼ症の方
ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素を分解する酵素がない、無カタラーゼ症の方がいらっしゃいます。万が一体内に取り込まれると、分解されずに残留してしまい、進行性口腔壊死などの重い病気になる可能性がありますので、絶対に行ってはいけません。その結果、口の中がただれ、細胞が死んでしまう進行性口腔壊死といった、危険な疾患を招いてしまう恐れがあります。そのため、ホワイトニングにおいて、無カタラーゼ症は絶対的禁忌症とされています。(無カタラーゼ症とは、過酸化水素を分解する酵素の一種、カタラーゼを体内で生成できない状態を指す病気です。)(禁忌とは、絶対におこなってはいけないという意味です。また、その治療をおこなったことで患者さんが死亡する、あるいは治ることのない障害を招くものを絶対禁忌といいます。無カタラーゼ症は、「絶対にホワイトニングをおこなってはいけない症状」です。)
5-2.妊娠中、授乳中の方
妊娠中もしくは授乳中の方に問題があったという事例の報告はありませんが、それと同時に妊娠中や授乳中でも安全であると分かっていないため行わないで下さい。赤ちゃんに何かあったら大変ですね。
5-3.18歳未満の人
18歳未満の人も、オフィスホワイトニングを控えた方が良いでしょう。基本的に、オフィスホワイトニングに年齢制限はありません。
しかし、18歳未満の人は、歯が成熟しきっていないことがあります。加えて、オフィスホワイトニングが、これから成長していく歯に影響を与えないという確証はありません。
そのため、18歳未満(歯医者さんによっては20歳未満)の人に、オフィスホワイトニングをおすすめしない歯医者さんは多いです。
5-4.治療していない虫歯や歯周病がある人
治療が終わっていない虫歯や歯周病がある人は、治療を優先させることを検討しましょう。ホワイトニング剤が虫歯や歯周病の患部に付着することで、痛みが出たり、症状を悪化させる危険性があるためです。
5-5.エナメル質形成不全症・象牙質形成不全症の人
エナメル質とは、歯の表面を覆っている半透明の組織です。象牙質とは、エナメル質の下にある層で、歯の主体となっている組織のことです。
象牙質は、その人の歯の基本となる色を決める組織でもあります。エナメル質形成不全症とは、何らかの原因によってエナメル質が十分に成長していない状態を指します。
同じく、象牙質形成不全症とは、象牙質の成長が不十分な状態をいいます。
こうした方がオフィスホワイトニングを受けると
- ホワイトニング効果が期待できない
- 歯の神経が刺激を受け強い痛みを感じるといったリスクがあります。
自分がエナメル質形成不全症や象牙質形成不全症かどうか分からない人は、歯医者さんで診てもらいましょう。また、エナメル質にひびが入っているという人も、ホワイトニング剤の影響で歯全体を傷めてしまうことがあるため、避けた方が良いとされています。
5-6.入れ歯やブリッジ、インプラントといった人工歯
オフィスホワイトニングを含むホワイトニングは、入れ歯やブリッジ、インプラントといった人工歯に対しては効果が見込めません。
これは、ホワイトニングが「神経が生きている天然の歯」に対して有効な施術のためです。
人工歯を白くしたい場合は、クリーニングをして着色の除去を試みるか、人工歯自体を白いものに作り替えるといった方法での改善を検討しましょう。
5-7.神経が死んでしまっている歯
神経が死んでしまったことで歯が変色している場合、たとえ天然の歯であっても、オフィスホワイトニングの効果はあまり期待できません。
神経が死んでしまっている歯を白くするには、ウォーキングブリーチという方法があります。
※ウォーキングブリーチ(ウォーキングブリーチ)とは、漂白剤を歯の中に直接注入し、封じ込めることで白く見せる方法です。変色してしまっている象牙質に直接作用することから、高いホワイトニング効果が期待できるといされています。しかし、周りの神経が生きている歯と色を合わせるのが難しかったり、目的の色になるまで複数回、漂白剤を交換しなければならなかったりすることがあります。
5-8.上記に該当しなくても念のため確認を
オフィスホワイトニングでは、濃度の高い薬剤を使用します。
そのため、副作用が生じる確率はゼロではありません。
服用している薬がある、何らかの病気を抱えている、という人は、事前に歯科医師や歯科衛生士に相談することをおすすめします。
7.オフィスホワイトニング施術後の注意点
オフィスホワイトニングの施術直後は、薬剤の影響で歯が「溶けやすい状態」「着色しやすい状態」になっています。施術後1時間程度は、以下の項目に注意した方が良いでしょう。唾液には歯の再石灰化を促したり、酸性に傾いた口内環境を中和させたりする働きがあります。歯の表面が唾液に触れることで、徐々に施術前の状態に戻っていくため、長期間気をつける必要はありません。
7-1.酸性が強い飲み物は控える
レモンやオレンジといった、酸性が強い飲み物は控えるようにしましょう。
ホワイトニング剤の作用で、歯の表面を保護している膜が一時的に除去され、溶けやすい状態になっているためです。
7-2.色素沈着しやすい食べ物や飲み物、嗜好品は控える
コーヒー、赤ワイン、カレーなど、一般的に色素沈着しやすいとされる食べ物や飲み物、あるいは、タバコといった嗜好品は控えましょう。
歯が、色視沈着しやすい状態になっているためです。
7-3.歯が白く濁ることがある
オフィスホワイトニング後に、歯の表面が白く濁ることがあります。これは、ホワイトニング剤の作用によって、歯の表面のエナメル質がごくわずかに荒れてしまうことが原因とされています。通常は数日で自然に元に戻りますが、脱灰(だっかい※)していたり、石灰化が十分でなかったりすると、すぐに戻らないことがあります。
数日たっても歯の色が濁っていると感じる場合は、歯医者さんに相談しましょう。
※脱灰とは、口の中の酸の働きによって、歯の表面からカルシウムやリン酸といったミネラル成分が溶け出してしまうことです。唾液にもカルシウムやリン酸といったミネラル成分が含まれています。そのため、唾液が脱灰を起こしている歯に触れると、唾液中のミネラル成分が付着し、脱灰した部分を修復してくれます。これが、歯の再石灰化です。
8.オフィスホワイトニングのQ&A
Q.ホワイトニングは歯に悪い影響はないのですか?
A.当クリニックでは、歯を白くする方法の中で、最も安全で害がないというアメリカの審美歯科学会が推奨している方法を採用しています。
Q.ホワイトニングは痛くないの?
A.痛みはほとんどありませんが、わずかに歯がしみるような刺激を感じることがあります。まれに帰宅後、歯が過敏にしみたり鈍痛のような症状が出ることがありますが、回復しますのでご安心ください。しかし、知覚過敏がある方は、診察時に必ず申し出てください。
Q.ホワイトニングは歯を削って白くするのですか?
A.歯は削りません。安全な光線と専用の薬剤によって、自然で透明感のある白い歯に変えるのが最新の治療法です。
Q.どのくらい期間が必要ですか?
A.当クリニックで採用しているオフィスホワイトニングは非常に効果が高く、通常であれば1回の施術でも効果を実感することができます。さらに効果を持続させるために、ホームホワイトニングを併用することをおすすめします。
Q.市販の歯磨き粉で白くすることはできないのでしょうか?
A.薬局等で市販されている歯磨き粉では白くすることができません。効果的に歯を白くするには、当クリニックでのホワイトニングをオススメします。また定期的にクリーニングを行うことで白さを保つことができます。
Q.白くなりすぎることはありませんか?
A.ホワイトニングによって歯がどれだけ白くなるか、あらかじめ予想することは非常に困難です。同じ色に見える歯でも薬剤に対する感受性は様々で、それを施術前に知ることはできません。ホワイトニングの効果には個人差があることをご了承ください。
Q.オフィスホワイトニングは健康保険が適応になりますか?
A.オフィスホワイトニングは保険がききませんので、自費診療となります。
Q.ホワイトニングは何歳からできますか?
A.20歳以上の方を対象としています
医療ホワイトニング
[医療ホワイトニング前]
[医療ホワイトニング後]
非医療ホワイトニング※3(セルフホワイトニング/美白用歯磨き粉など)
[非医療ホワイトニング前]
[非医療ホワイトニング後]
※3化粧品や歯磨き粉などで
歯の表面の着色を除去するホワイトニング
医療ホワイトニングと
非医療ホワイトニング(セルフホワイトニング)
の違いを知らないと答えた人は
約8割!
ジーシー調べ 2022/6 インターネット調査18~69歳 8,900名
医療ホワイトニングと非医療ホワイトニングの違い
医療ホワイトニング
どこで |
オフィスホワイトニング 歯科医院 ホームホワイトニング ご自宅など(歯科医師・歯科衛生士※1指導のもと) 歯科衛生士は歯科医師の指導のもと医療ホワイトニング行為を実施 |
---|---|
何を | 歯の表面についたステイン
歯の内部に沈着した色素 |
何を 使って |
医療機器製品※2
(過酸化水素/ 過酸化尿素/ 光照射器) |
非医療ホワイトニング
どこで |
セルフホワイトニング専門店、美容室、 |
---|---|
何を | 歯の表面についたステイン |
何を 使って |
化粧品該当製品やホワイトニング歯磨き粉(成分:重曹、ボリリン酸、酸化チタンなど) |
まとめ
オフィスホワイトニングは歯科医院でのみ取り扱える高濃度の薬剤を使用するため、効果が得られやすいのが特徴です。歯科医院で施術するためムラが出にくく、しみるなどのトラブルにもすぐに対応可能です。
知覚過敏が起こりやすいなどデメリットもあるため、気になる方はあらかじめ歯科医師に相談しましょう。