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コラム

歯ぎしりの怖さ

2024.05.01

歯ぎしりとは

歯ぎしりとは に対する画像結果

歯ぎしりは、睡眠時や無意識のうちに強い力で無意識のうちに食いしばったり、歯をこすり合わせたりしてしまうなど、上下の歯が不必要に接触している状態を指します。一般的に、上下の歯を小刻みにカチカチ噛み合わせるタッピングはという歯ぎしりは、歯や顎への負担が最も軽いとされています。しかし、音が出ないクレンチングやグライディングなどの歯ぎしりは、歯にとても負担がかかります。家族から歯ぎしりを指摘される、朝起きると顎の筋肉が疲れている、歯が欠けることが多い、歯がいつの間にかすり減っている、歯がしみる場合は、将来的に歯を失わないためにも早めに対処が必要です。

歯ぎしりの種類とその特徴

グライディング(歯ぎしり)

グライディング型(歯ぎしり)

睡眠中によくみられる症状で、上下の歯を擦り合わせる一般的によく考えられる歯ぎしりです。「ギリギリ」とした音が出るのが特徴で、下の顎が左右にすばやく動いた状態で、「ギリギリ」とした音が出ます。睡眠中に多く見られ、意識的に行おうとしても再現するのは難しいです。グライディングタイプの歯ぎしりの特徴はしみる症状がある、エラが張っている、詰め物が外れる、歯のすり減りなど主に口腔内への影響が挙げられます。

クレンチング(食いしばり)

歯ぎしり|フリー歯科イラスト【歯科素材.com】上下の歯を強く咬みしめるタイプの歯ぎしりで、日常生活や仕事、運動時など、上下の歯に力を入れてぎゅっと強く咬みしめた状態です。顎に大きな力がかかっていますが、音がほとのどないのが特徴です。自分の体重ほどの力で、咬む人もいます。また、睡眠中に無意識に咬みしめている人は、朝起きた時にあくびをしようとすると、こわばりを感じる事が多いようです。食いしばりが習慣化している方のい多くは、上下の前歯の歯ぐきが大きく隆起しています。クレンチングタイプの特徴は骨の隆起、顎のこわばり、顎関節の音や痛み、歯が割れる、歯にヒビが入る、ほほの内側の粘膜に歯の跡の他、肩こり、頭痛、めまいなど口腔内に留まらず、全身に影響を及ぼします。

タッピング

マウスガード・歯ぎしり治療|堺市の歯医者「おとのは歯科」|新金岡駅すぐ

上下の歯を小刻みにぶつけあうタイプの歯ぎしりで、「カチカチ」や、「カンカン」といった音が出ます。他の歯ぎしりに比べ歯や顎への負担は比較的軽いとされています。

歯ぎしりの原因

歯ぎしりの原因とその予防・対策方法について|名古屋歯科 名古屋駅院

歯ぎしりはや食いしばりにはさまざまな原因が考えられます。

睡眠時無呼吸症候群・気道が狭い:睡眠時など無意識の状態で歯ぎしりをしている場合は、気道(空気の通り道)が狭い状態である可能性があります。気道が狭くなる原因は頭蓋骨、特に上顎と下顎の正常な発達がなされなかったため、本来備わっているべき気道の容積を獲得できなかったためと言われています。扁桃腺が大きいことや、鼻腔が狭いといった体の特徴も気道が狭くなる原因になります。いびきや睡眠時無呼吸症とも関連すると言われています。

ストレス:人は日中イライラしたり、不安になると体に力が入ります。その時の食いしばりが癖になり、睡眠時などの歯ぎしりに発展します。睡眠時は無自覚ですが、家族に歯ぎしりを指摘されたり、起床時に顎の筋肉が疲れていて初めて自覚します。夜間の歯ぎしりは自律神経と関わっていると言われ、疲れがたまっていると頻度が増すといわれております。

生活習慣:喫煙・飲酒の習慣も歯ぎしりと関係しています。アルコール・ニコチンの摂取も歯ぎしりを悪化させるといわれています。しかし、飲酒や喫煙習慣はストレス発散に役立つ面もあるため、我慢しすぎてストレスを溜めないように調節することが大切です。

筋肉のバランスが悪くなっている:歯に痛みがあるときや、詰め物や冠などの補綴物の高さが不適合、歯を抜いたまま放置している時など、噛み合わせがおかしくなり、あごの筋肉の緊張がアンバランスになってて、肩こりにも繋がります。

歯並びや噛み合わせの悪さ:歯と歯の噛み合わせや歯同士の並びに安定性を欠いていることが多いため、就寝中などに歯をこすり合わせて無意識にバランスを取ろうとし、歯ぎしりを行ってしまいます。

アルコール・喫煙:歯ぎしりは、浅い眠りのレム睡眠時に起こることが分かっています。飲酒や喫煙、過度のカフェイン摂取は特に睡眠が浅くなる原因になります。

歯ぎしりが及ぼす影響

歯ぎしり・くいしばり – さかもと歯科クリニック

歯へのダメージ

食いしばり 骨隆起 に対する画像結果

歯ぎしりを長年放っておくと 、本来の歯が欠けてきたり、短くなり神経に近づいてしみるといった知覚過敏のような症状を起こします。

歯の根元を砕いていく

露出歯根面の被覆 (CTG) | 歯周病専門外来 たけのうち歯科クリニック

歯に強い力が加わると、歯の堅いエナメル質とやわらかい象牙質の間に応力が集中し、歯が砕けるように削れていきます。 歯の根元の象牙質には神経とつながっている管があり、歯ぎしりでけずれることで神経とより近くなりしみる症状(知覚過敏)を起こしたり、神経が死んでしまうこともあります。

歯が噛むと痛い、違和感がある

歯には歯根膜という、噛んだ時に硬いもの、柔らかいものなど判断する膜があります。歯ぎしりによって膜に強い力が加わると、歯が揺さぶられると、噛んだときに痛みや違和感を感じます。

詰め物が取れたり、割れたりする

詰め物や被せ物を付けた時に噛み合わせは確認しますが意識的な噛み合わせと睡眠時におこる無意識の歯ぎしりは異なっており、歯ぎしりによる干渉を想定することは難しいため、歯ぎしりで起こる100キロ以上もの負担がかかっていると、耐久性がある銀歯までも割れる可能性があります。

骨が隆起する(骨隆起)

食いしばったり、歯ぎしり していませんか? | 一宮市柚木颪の歯科医院 | おろし歯科医院

噛んだ時、顎の骨に力が加わり、その刺激によって骨が盛り上がったものです。骨が隆起する原因は遺伝的な要因と、強い力が加わったことで、骨が異常発達する原因の2つあります。病的なものではないので、取り除く必要はありませんが、歯茎が薄くなっているので、表面に物が当たると痛みが強く出ます。骨隆起の特徴は腫瘍や嚢胞のように粘膜にでき、骨隆起は骨の膨らみのため、触ると硬い感じがあります。また炎症反応によってできたものではないため、腫れや痛みなどといった症状はないです。骨が大きくなったことでできる為、小さくなることはなくいです。気になる方は外科的な処置で切除することも可能です。

顎が痛くなる

起床時に顎関節が痛んだり、口を開けるとカクカクという小さな音が出たりしていませんか?歯ぎしり・食いしばりによって、顎の関節が強く圧迫されることで顎に痛みが生じます。顎関節は顎と頭をつなげている関節で、関節の間には関節円盤という軟骨が存在します。この関節円盤は顎をスムーズに動かす機能がありますが、歯ぎしりにより関節円盤が圧縮され、ずれたり、穴があいたりしていて、顎をスムーズに動かすことができなくなり、顎関節症のように顎が痛くなったり、音がなったり、顎が開きにくくなる症状が起こります。

歯を支えている骨が痩せてくる

歯が揺さぶられ、歯を支えている骨が溶けて歯周病になります。骨や歯ぐきにおおわれていた歯の根の部分が出てくることによって歯が長くなるように見えたり、知覚過敏になってしみるようにもなります。骨が瘦せることで歯を失う原因にもなります。

知覚過敏が起こる象牙

歯ぎしりで歯が擦り減り、歯の内側層の「象牙質」が露出することで起こります。初期の知覚過敏の症状としては冷たいものがしみる、軽い痛みが一時的に起こるなどがあげられます。知覚過敏が進行すると冷たいものに限らず、常温や熱いものもしみる、何もしてなくても歯が痛む、痛みの時間が長いなどです。特に3~5番目の歯が知覚過敏が起きやすいとされています。見た目の変化はあまり分かりにくいですが、知覚過敏が重症化すると歯の神経を抜かざる得なくなるため、注意が必要です。

頭痛・腰痛・肩こり

食いしばりや歯ぎしりは顎の位置のズレを招き、頭の位置→背骨→腰へとズレが連鎖し、腰痛を引き起こす原因となります。また噛む力を出す筋肉は肩や首、頭の方まで繋がっており、歯ぎしりで筋肉が緊張することで、肩こりが頭痛の原因に起なります。

歯の根元がくさび状にえぐれる(くさび状欠損)

Q&A|歯医者さんのよくある質問|相模原の歯医者さん | 2017年7月

くさび状欠損は、歯と歯茎の境目(歯頚部)の歯質が、くさび状にえぐられたような欠損が生じる病気です。歯ぎしりの他に歯ブラシの当て方が強いなど他にも原因はあげられます。初期段階では自覚症状がない場合が多く、進行すると知覚過敏や歯の欠損などの症状が現れます。

歯が割れる

歯ぎしりによって歯の表面がかけたり、根元まで割れることがあります。神経のない歯は特に割れやすくなっています。歯ぎしりのような強い力が加わり、歯の根元まで割れると、噛む度に亀裂が広がり痛みます。無意識のうちに歯ぎしりが習慣化し、歯が割れてしまうと、そこから虫歯になるリスクもあるため、普段起床時に顎の疲れなどがある方は早めに対処しましょう。

実際に歯ぎしりが習慣化している方の症例写真

実際に当院で歯ぎしりが習慣化している方の症例写真です。歯ぎしりによって歯にヒビが入っており、患者様によっては表面上の方もいれば写真のように中までヒビが入っている方もいらっしゃいます。

歯ぎしりと歯周病の関係

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

歯ぎしりにはいくつかの種類がありますが、どの種類も歯周病と関係しているといわれています。歯周病は全身疾患にも大きく関わっており、厚生労働省が指定する歯を失う二大原因とされています。歯科矯正で歯が動く力は3gからといわれていますが、歯ぎしりは人によっては100キロ以上もの大きな力で歯に負担をかかっているといわれています。歯に大きな力がかかる歯ぎしりをそのままにすると、歯を支えている歯の周りの骨が影響をうけ、骨が吸収されます。さらに歯周病菌の活動性が大きいと、歯茎に力と炎症の負担がかかり、歯がグラグラしたり、歯が抜けるなど歯周病の悪化につながります。

歯ぎしりセルフチェック

以下のような症状に1つでも当てはまる方は歯ぎしりや食いしばりを行っている可能性が高いです。

✓ 舌の先に歯型のような凹みがある(図1)

✓ 下の歯の内側に硬い隆起がある(図2)

✓ 頬の内側(頬粘膜)に線がある(図3)

図1
図2
図3

 

 

 

 

咀嚼筋マッサージ

食いしばりによって強張った筋肉をほぐすマッサージもオススメです。

咀嚼筋の簡単ストレッチ | ユビタマゴ社長のつぶやき

側頭筋・・こめかみあたり、耳の上の筋肉
咬筋
・・エラあたりにあり、噛みしめるとプクっと膨れる筋肉

口の力を抜き、筋肉に両手の中指と薬指を当て、円を描くようにほぐします。それぞれの筋肉を3~5分ほど行います。

このマッサージを行うことで、強い食いしばりによる負担を一時的に和らげたり、日常的に行うことで口にかかる負担を抑え、発達した筋肉を緩め小顔効果にもつながります。

歯ぎしりの予防方法

マウスピース(ナイトガード)

ナイトガード について|ブログ|武豊町の歯医者「とみ歯科クリニック」

睡眠時の歯ぎしりは無自覚のため、意識的に癖を治すことができないため、マウスピースを作製・使用することで歯ぎしりから歯を守ることができます。歯ぎしりは主に睡眠中に行われるので、上下の歯にかかる力の緩和の為に、睡眠時にマウスピースを装着します。また仕事や作業中など集中するタイミングで食いしばり予防マウスピースのシートは透明なので、装着していることはわかりにくく、硬さは患者様自身の食いしばりの程度によってソフトタイプ・ハードタイプ、どちらかを選択します。

【マウスピースの作用】

  • 歯や歯ぐきを歯ぎしりの力から守る:歯ぎしりの力は普段食事で噛む力よりも強いため、マウスピースを使用することで伝わる力を和らげ、歯や歯茎に直接強い力が加わらないようにします。
  • 顎関節を守る:顎の関節には関節円盤という軟骨があり、この関節円盤がスムーズに動くことで顎の関節が動きます。歯ぎしりにより顎の関節に強い力がかかり続けると、この関節円盤に穴が開いたり、変形したり、位置がずれたりして、顎関節症のように痛みや音が鳴るようになります。マウスピースをお口の中に入れて噛むと上下の歯と歯の間にマウスピース分のあごの関節のすき間が出来ます。このすき間を作ることで、関節円盤にかかる負担を減らすことが出来ます。
  • 筋肉の緊張を和らげる:歯ぎしりの時に緊張している筋肉は口の周りだけでなく肩や頭などにも広がっていて、この緊張により肩こりや偏頭痛が起こります。歯ぎしりを行っている間は、筋肉が緊張した状態が続き、緊張した状態が続けば続くほど、疲労がたまります。マウスピースを使用することで、噛み合わせの高さが上がり、力の入りにくい位置に変わり、筋肉の緊張を和らげ、肩こりや偏頭痛をかるくします。

歯列矯正

マウスピース矯正(インビザライン)とワイヤー矯正の違い・総まとめ | 神保町タワー歯科・矯正歯科ブログ

歯ぎしりは「歯並びの悪さ」が原因となって、起こるケースも少なくありません。「歯並びを整えると必ず歯ぎしりが解消する」とまでは言い切れませんが、少なくとも歯ぎしりをしたときに歯が痛む範囲が少なくなり、歯ぎしり自体の発生を抑制できる可能性が高いです。矯正治療といえばワイヤー矯正が一般的にイメージされやすいですが、見た目やお口の中の違和感などが気になる方には「インビザライン矯正」もおすすめです。歯ぎしりの癖がある方は、マウスピース矯正を行うことで、歯や顎への負担を緩和させ、歯ぎしりの習慣を抑える方向にシフトさせながら歯並びを整えていきます。

ボツリヌス療法

ボツリヌスとはボツリヌス菌から抽出した「タンパク質」の一種を筋肉に注射する治療法です。神経伝達物質の「アセチルコリン」の分泌を阻害し、筋肉の動きを弱める作用があるため、食いしばりの予防に役立ちます。特に“就寝中の食いしばり”は、無意識のうちにアセチルコリンが機能して起こるケースが多いです。またエラが張っている方は、食いしばりによる「咬筋」の過剰な発達が原因とも考えられます。ボツリヌス療法を行うことで同時にエラ張りの改善効果も得ることができます。

【ボツリヌス療法のメリット】

食いしばり(歯ぎしり)のボトックス治療|保険適用?デメリットは?

  • 顎の痛み、こわばりが緩和する(顎関節症の緩和)
  • 頭痛・肩凝りなどの改善
  • 歯が割れる・ヒビが入るのを防ぐ
  • 被せ物や詰め物が外れるのを防ぐ
  • エラの張りの改善(小顔)

また日中、気が付いたときに上下の歯と歯がくっついていないか、意識するように心掛けましょう。人は上の歯と下の歯が1ミリ離れている状態で顎周りが1番安静でリラックスする位置と言われていますので、時々口を大きく開けて顎周りの筋肉を伸ばすのもいいでしょう。

最後に

歯ぎしりを放置していると歯がすり減ったり、歯が欠けたりすることがあります。また顎関節症のリスクや肩こりなどにも影響を及ぼします。また睡眠時以外の無意識の時以外にも、何かに集中している時や緊張している時も、上下の歯が気づかない間に食いしばってることがあるため、要注意です。当院でもナイトガードをはじめとした、インビザライン矯正、ボツリヌス療法を行っております。歯を失う主な原因として虫歯・歯周病・力が挙げられ、歯ぎしりはそのうちの力に分類されます。歯ぎしりのセルフチェックにどれか一つでも当てはまる方、起床時に顎がだるい等の症状がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

【ネット予約可】石野歯科医院(大阪市天王寺区/谷町九丁目駅)|EPARK歯科

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