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コラム

歯周病と全身疾患について

2024.06.10

歯周病と全身疾患の関係性

歯周病は口の中だけの疾患ではなく、全身に関係しています。

歯周病の怖さは、歯を失うリスクが高いだけではありません。歯周病が体のさまざまな病気に影響していることがわかってきています。
菌が増殖し免疫細胞が防御しきれずに、菌が体内に侵入してしまったり、慢性的に炎症がある事で、様々な全身疾患を引き起こしたり、すでにある疾患を悪化させる事が明らかとなってきました。

歯周病と関係する全身疾患をあげていきます。

  1. 脳梗塞
  2. 心筋梗塞、心内膜炎
  3. 感染性心内膜炎
  4. 動脈硬化
  5. 誤嚥性肺炎
  6. 糖尿病
  7. 早産
  8. 低体重児出産
  9. バージャー病(閉塞性血栓血管炎)
  10. 認知症
  11. メタボリックシンドローム
  12. 骨粗鬆症
  13. 狭心症
  14. 関節リウマチ

1.脳梗塞

歯周病原因菌により脳の血管内にプラークが張り付くと、脳の血管が詰まって脳梗塞を引き起こすことがあります。血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療は、より重要となります。歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になりやすいと言われています。

2.心筋梗塞、心内膜炎など

歯周病原因菌が心臓疾患にも影響を与えてしまうことがあります。歯周病原因菌により血管内にプラーク(脂肪性沈着物)が作られ、心臓の血管内の壁に付着することで血液の通り道が狭くなり、心筋梗塞などを引き起こしてしまいます。

3.感染性心内膜炎

もともと心臓弁や心内膜壁に障害がある人や人工弁を挿入しているような人では、その部分での血液の流れが停滞しやすいため、抜歯や歯周病などの治療、歯ブラシなどにより侵入した歯周病細菌がこのような場所に血流を介して付着、増殖し、感染性心内膜炎を引き起こすことがあります。

4.動脈硬化

歯周病菌が歯肉から血管内に入り、歯周病菌が産生する内毒素や歯周病巣で産生された炎症性物質(サイトカイン)が原因となり、血管に炎症を起こし、血管そのものを硬化させたり、血栓を形成するように働いて動脈硬化を進行させると考えられています。

5.誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は、寝たきりの方や高齢者の方に起こりがちなトラブルです。口腔機能が衰えると嚥下機能が落ち、誤って器官の中へ入り込んで肺炎を発症するトラブルです。誤嚥性肺炎を起こした方の肺から、高い割合で歯周病原菌が見つかっていると報告されていることから、歯周病と誤嚥性肺炎には強い関連性があると考えられています。

6.糖尿病

歯周病と最も関連性が深いと言われているのが、糖尿病です。糖尿病と歯周病は相互関係にあり、糖尿病が悪化すると歯周病も悪化すると報告されています。歯周病が悪化すると、血中の「サイトカイン」という炎症物質が増加し、血糖値を下げる働きがあるインシュリンの作用を低下させます。その結果糖尿病が悪化すると考えられているため、歯周病と糖尿病は密な関係があると言われています。

7.8早産および低体重児出産

歯周病が、妊娠中の母体にも関わることが分かっています。妊娠中はホルモンバランスの影響で歯肉が腫れやすく、悪阻があり、嘔吐反射も出やすく歯ブラシが中々行えず、歯肉炎を引き起こしやすい状態です。このまま歯周病へと進行してしまうと、歯周病菌により炎症を引き起こし、子宮収縮を引き起こしてしまいます。その結果、正期産を待たずに早産となってしまう恐れがあります。そして早産で生まれた赤ちゃんは、必然的に肺など体の機能が未熟なまま生まれてしまう低体重児出産の割合が高くなります。

9.バージャー病

バージャー病とは、手足の末端の血管が詰まり、炎症が起こり、皮膚に痛みや潰瘍をおこす病気です。このバージャー病と歯周病には深い関連性があり、バージャー病にかかった方は、ほとんどの方が歯周病であると診断され、歯周病の進行度合いは高く、中程度から重程度でした。痛み、または潰瘍がある部分の血管から採血し、検査を行った結果、血液からは歯周病菌が検出された一方で、正常な箇所からは歯周病菌が検出されませんでした。歯周病菌は、血栓をつくりやすく、皮膚の内側の細胞に進入するとの報告がされています。

10.認知症

認知症は原因や症状によって何種類にも分類されますが、歯周病と関連があるのは、認知症の中でも最も患者数が多いアルツハイマー型認知症になります。アルツハイマー型認知症は「アミロイドβ」というタンパク質が脳内に蓄積することが原因とされていますが、歯周病により慢性的に発生する炎症物質の影響により脳内でアミロイドβの量が増えるとされています。さらに、アルツハイマー型認知症の方の脳内に歯周病菌が確認されたという論文も発表されています。

11.メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは、内臓肥満に高血圧、高血糖、脂質代謝異常が見られる状態のことを指します。メタボリックシンドロームになると、心疾患や脳梗塞になりやすいと言われています。歯周病の病巣から放出される毒素やTNFαは、脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させます。その結果、血糖値を上昇させメタボリックシンドロームになりやすくなります。

12.骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなってしまって骨折しやすくなる病気です。患者の9割が女性と言われています。歯周病が進行し歯を喪失してしまうと飲食が難しくなり、ビタミンDやカルシウム不足、低栄養となります。その結果、骨粗鬆症を悪化させると言われています。

13.狭心症

動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある病気です。動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来血液の通り道は細くなります。プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります。

14.関節リウマチ

関節リウマチと歯周病には、慢性的な炎症が続いて骨を破壊するサイトカインの過剰産生が認められます。関節痛の患者さんを対象とした研究で、歯周病患者さんは、健常者に比べて関節リウマチと診断され治療を開始するリスクが高いという報告があります。また、関節リウマチの患者さんは、歯周炎や歯の喪失がより顕著にみられることも報告されており、歯周病と関節リウマチに相関関係がある可能性が指摘されています。

まとめ

上記のように歯周病は歯を失うだけでなく、心疾患、脳梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎などの全身の病気を引き起こすことがわかってきています。これらにかからないようにする為には、歯周病予防をする事が大切です。定期的に歯科医院のクリーニングを受けていただき、お口の中を清潔に、健康に保ちましょう。

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