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スケーリング・ルートプレーニング(SRP)

2024.06.03

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)とは

歯周病治療で行うSRPとは | 西田辺(阿倍野区)の歯医者 歯周病|西田辺えがしら歯科

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)は、歯周病治療の重要な一環です。この治療は、歯肉炎や歯周炎によって引き起こされる歯周組織の疾患を改善するために行われます。

では、詳しく見てみましょう。

  • スケーリング(Scaling)は、歯に付着した歯ぐきの上および歯ぐきの下のプラーク(歯垢)、歯石、その他の沈着物を色々なスケーラーと呼ばれる道具を使用して、機械的に除去することです。スケーリングの目的は、プラーク(歯垢)が多量に付着してしまう原因を除去し、歯科医師や歯科衛生士、患者さんご自身がプラーク(歯垢)を除去しやすい環境を作ることです。
  • ルートプレーニング(Root Planing)は、歯の根っこ(歯根面)の細菌やその代謝産物を含んでいる病的な歯質(主にセメント質)を各種スケーラーを使って取り除き、生物学的に為害性のないきれいでツルツルしている歯根面を作り、歯肉と歯根面との付着を促すことです。

阿倍野区 歯医者 歯肉 縁上歯石 縁下歯石

SRPは、歯周ポケット内にたまった歯石(プラークや歯垢が固まったもの)や細菌の集合体を除去するための非外科的な処置です。

歯石には、歯ぐきより上の歯の表面につく縁上歯石(えんじょうしせき)と、歯ぐきより下の歯根面につく縁下歯石(えんかしせき)の2種類あります。

歯科においては縁上歯石のみを対象にした処置を『スケーリング』縁下歯石を対象にした処置を『SRP』と呼びます。

SRPを行う理由

歯周病治療は基本が重要 – 石神井公園 歯医者 – たけのうち歯科クリニック

  • プラーク(歯垢)や歯石、細菌が作り出す代謝産物を減少させるため。
  • 歯周ポケット内(歯ぐきの中)の歯面に対して行うことで、歯周ポケット(歯ぐきの中)が深くなるにつれて操作は複雑となり、適切な技術および時間と労力を必要になります。
  • 歯肉炎の場合は、病変が歯の根っこ(歯根面)にまで進んでいないため、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)は行われません。

治療時には局所麻酔を行い、痛みを感じない状態で行います。また麻酔が苦手な方、麻酔をできるだけしたくない方は一度行い痛みがあり耐えられなくなってから麻酔をすることも可能です。麻酔が切れてからの痛みは一時的で、通常2~3時間で軽減、2~3日でほぼ無くなります。また、治療後に一時的な知覚過敏を起こすことがありますが、これも歯ブラシやフロスなどご自身でのセルフケア(プラークコントロール)を行うことで改善されます。

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)は、歯周病治療の流れの中で行われ、歯周外科治療やサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)でも行われます。プラークコントロールを含めた良好なお口の状態を保つことで、歯周炎の進行を抑えることができると言われています。

サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)とは・・・

歯周病の安定期治療の一部であり、病状が安定した歯周組織を維持するために行われる定期的な治療です。

歯周病の治療は下記の流れに沿って行なっていきます。

初診:初診の時に患者様に書いていただく問診票。問診票とは、 現在の心身の状態、病歴、アレルギーの有無などについての質問をまとめた書類 のことをいいます。 一般的には、初診の方が診察を受ける前に記入し、クリニック側に提出します。 歯科クリニックにも当然問診票は存在し、歯科医師、歯科衛生士はこちらの内容を参考に、これから行う治療の方針や内容を決定するため、必ず正しい内容にしなければいけません。
歯周病検査:歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどなく、進行すると歯を失う危険性がある病気です。定期的な検査を受けることで早期発見と適切な治療(即時処置)が可能です。以下に歯周病検査の内容と費用について詳しく説明します。

【歯周病の検査内容】

歯医者で定期検診を受けるメリットと、おくだ歯科医院の定期検診の内容について | デンタルコラム | おくだ歯科医院 - 歯周病・インプラントセンター

・プロービング検査: 歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)の深さを測定します。歯周病の程度を判定する基本的な検査です。

・動揺度測定検査:ピンセットを使用し一本ずつ歯の揺れをしらべていきます。

・レントゲン検査: 歯槽骨の状態、虫歯、歯石を調べます。歯周病が進行すると歯槽骨が溶けてきますので、エックス線写真で評価します。

・口腔内検査(カメラ):口腔内の写真を撮ることにより患者様に今現状の自分自身の口腔内の状況を知ってもらえます。(嚙んでいるところ、噛んだままの右側・左側、上の歯のかみ合わせ、下の歯のかみ合わせなど)

歯周病診断:上記の検査結果の内容を歯科医師・歯科衛生士が患者様に丁寧に説明いたします。
治療計画の立案:患者の具体的な状態に基づいて立てられます。以下は一般的な治療計画のステップになります。

 

・歯垢・歯石のクリーニング: 歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除きます。これにより炎症を抑え、歯周組織の健康を改善します。

・歯周ポケットの治療: 歯周ポケットの深さに応じて、歯周病の進行を防ぐために歯周ポケットのクリーニングなどが

・歯槽骨の治療: 歯槽骨の損傷・欠損がある場合、手術的な処置や骨移植が必要となることがあります。

・口腔衛生指導:歯科衛生士が 正しいブラッシングやフロスの方法を指導し、患者が自宅で適切なケアを行えるように一緒にサポートします。

・定期的なフォローアップ: 歯周病は慢性的な疾患であるため、定期的な歯科検診とクリーニングを受けて、症状の進行を監視し、適切な治療を継続することが重要です。

・治療計画は患者様の状態に合わせてカスタマイズされ、歯科医師・歯科衛生士と患者様が協力して進めていきます。

・患者に治療内容と計画について十分な理解と同意を得ましょう。(インフォームド・コンセント)

歯周基本治療(プラークコントロール,歯垢や歯石の除去,習癖の修正,抜歯,噛み合わせの調整,虫歯治療,根の治療,揺れている歯の固定など):

グラグラの歯を固定する治療 暫間(ざんかん)固定 T-fixについて | 名古屋市北区の歯医者|おくい歯科へ

・患者教育・口腔衛生指導: セルフケアが最優先事項です。歯科衛生士が患者様に適切な歯磨き方法や口腔衛生の重要性を指導します。

・歯肉縁上スケーリング: 歯垢や歯石の除去を行います。

・スケーリング・ルートプレーニング (SRP): 歯周ポケット内(歯ぐきの中)のプラーク(歯垢)を除去し、歯周病の進行を防ぎます。

・咬合調整: 歯の噛み合わせを調整します。

・暫間固定: 歯周治療用装置を使用して歯を固定します。

・抜歯: 重度の歯周病が進行している場合に必要となることがあります。

・プラークリテンションファクターの改善: 歯石、不良修復・補綴物、う蝕・くさび状欠損などの原因を改善します。

・悪習癖の修正: ブラキシズムや口呼吸などの悪習癖を修正します。

再評価検査:歯周病治療において、再評価検査は非常に重要です。治療中や治療終了後に何度も検査を行うことで、歯周病の進行や治療効果を評価し、適切な対応を行います。以下に再評価検査について詳しく説明します。

歯科器具のお話| 緑町斎藤歯科医院

  1. 再評価検査の目的:
    • 歯周病治療の進行をモニタリングするために、治療直後の歯周ポケットの数値だけでなく、患者さまのブラッシング状態、歯の揺れ、周囲の骨の状態、被せ物の機能性、清掃性、咬み合わせなどを幅広く調査します。
    • 治療計画の確認や変更を行うために、患者様ごとに適切な治療ステップを判断します。
  2. 再評価検査で行うこと:
    • 歯周ポケットの深さのチェック(プロービング検査)
    • 歯の揺れの大きさのチェック(動揺度測定検査)
    • 歯ぐきからの出血の有無(BOP)
    • プラークコントロール(日常での歯ブラシの仕方や磨けていないところ)の状態をチェック
    • 仮歯の修正(必要に応じて)
    • レントゲン(必要に応じて)
    • 口腔内写真(必要に応じて)
  3. 再評価検査のタイミング:
    • 通常、治療直後、手術後に行います。
    • 歯周病の重症度によって回数は異なりますが、基本的に3回ほど行います。

再評価検査は、治療の成功を確認し、再発を防ぐために欠かせないステップです。

歯周外科治療(歯周病の手術,再生療法など):歯周外科治療は、歯周病や歯周ポケット(歯と歯ぐきのすきま)などの治療により、歯周組織(歯ぐき、歯を支える骨、セメント質、歯の根っこ)の健康や見た目を改善する手術です。この治療は、主に以下の3つの目的に分けられます。

歯周病治療・歯周外科|四ツ橋駅から徒歩2分|女性ドクター在籍の吉川歯科医院

  1. フラップ手術: 歯周病の程度が比較的軽症であれば、歯科医師や歯科衛生士によってプラークと歯石を除去した後、歯磨きをしっかり行って口腔内を清潔にすることで歯周病を改善していきます。しかし、歯周病が進行していて歯周ポケット(歯と歯ぐきのすきま)が深くなってしまうと、歯石を取ったりしただけでは治りません。そのような状態では外科的に歯周ポケットを除去する必要があります。フラップ手術は、歯ぐきを切開して歯根や歯槽骨(歯を支える骨)を肉眼的に見える状態にし、歯根の表面を徹底的にきれいにします。
  2. 歯周組織再生療法: 歯周病によって失われた歯槽骨(歯を支える骨)などの歯周組織(歯ぐき、歯を支える骨、セメント質、歯の根っこ)を再生するための治療です。特殊な材料を使用して、歯周組織(歯ぐき、歯を支える骨、セメント質、歯の根っこ)を再生させることができます。
  3. 歯周形成手術: 主に外壁の修復を目的として、見た目の改善を行います。この手術は、歯肉を切開して汚れを除去する方法。
  4. 腫れた歯肉そのものをメスで取り除く歯肉切除手術があります。

再評価検査:上記に記載いている再評価と同じ内容です。

口腔機能回復治療(被せ物や入れ歯,インプラント治療など):口腔機能回復治療は、歯周病によって失われた口腔機能(咬合、咀嚼、審美、発音機能など)を回復するために行われる治療の総称です。歯周治療で改善が見られた場合、治った歯に対して被せ物(冠)、ブリッジ、または入れ歯(義歯)を装着することで、かむ力や食べる力を向上させることができます。この治療は、歯周外科治療後に行われることが一般的であり、患者さんの口腔機能を最大限に回復させることを目指します。 また、歯周基本治療と組み合わせて、歯周病の進行を予防し、口腔の健康を維持するためにとても重要です。

再評価検査:上記に記載いている再評価と同じ内容です。

メインテナンス(定期検診):

メンテナンス(その4) | ハーモニー歯科こども歯科-公式サイト

【内容】
むし歯のチェックむし歯は、歯の噛む面や歯と歯ぐきのつけ根だけでなく、歯と歯の間(隣接面)などの直接見えないところにもできやすいものです。一度プラスチック製のものつめて治療してあったり銀歯などの被せ物の治療をしていても、そのわずかな際や隙間から新たなむし歯ができることが多々あります。専門的な立場からむし歯をチェックしてもらいましょう。歯ぐきのチェック歯のまわりのポケット(歯周ポケット)が深いと、歯周病になります。あなたの歯周ポケットの深さはどのくらいか、チェックしてもらいましょう。◎ブラッシング指導歯ブラシと口腔ケアセットの写真素材 - ぱくたそ

・歯の正しい磨き方は、その人の歯並びや歯磨きの癖などのため、一人ひとり違うものです。あなたに合った、歯ブラシ・フロスなどの正しい使い方を、歯科医師・歯科衛生士に教わりましょう。

・歯垢(プラーク)を取る歯ブラシで取り残したり、取りきれなかった歯垢(プラーク)は、むし歯や歯周病の大きな原因となります。できるだけ早く歯医者さんに歯垢(プラーク)を取り除いてもらいましょう。

・歯石を取る歯石は誰にでもつき、歯ぐきを圧迫するなどして、歯ぐきが腫れたり、歯磨きをした際に出血するなど歯周病を引き起こす原因の一つとなります。自分で取り除くことはできないので、定期的に歯科医師・歯科衛生士に歯石を取り除いてもらい歯周病になるのを防ぎ進行を遅らせましょう。

・歯科相談むし歯や歯周病についての悩み事以外でも、歯医者さんは相談にのってくれます。歯科矯正、顎の痛み(顎関節症)、噛むこと(摂食)、飲み込むこと(嚥下)についての指導や治療、要介護者のお口の中のケアなどについても気軽に相談してみましょう。

歯間ブラシ・デンタルフロスの正しい使い方や注意点 | 歯周病治療なら東京国際クリニック/歯科

・お口の中の粘膜の病気チェックお口の中や舌、唇、口角などの粘膜にできる炎症(口内炎)には、お口の中やその周りに原因があるものと、全身的な原因があるものとがあります。また、口腔粘膜の異常は、口腔がんなどの病気の可能性もあります。普段からお口の中を清潔に保つとともに、定期的に歯医者さんでお口の中の粘膜の状態をチェックしてもらいましょう。

上記の治療の流れの中で,まず歯周基本治療という治療段階で行います。歯周外科の時にも歯の根の表面に歯石が付着していることも多々あります。その際にもSRP(スケーリング・ルートプレーニング)を行います。
また治療が終わりメインテナンス(定期検診)の段階にまで進んだ際にも,歯石やプラークが付着しているようであれば,SRP(スケーリング・ルートプレーニング)を行なっていきます。
どの治療段階においてもプラークコントロールは,治療を成功に導くために大事な点になります。従いまして治療段階でも必要と判断した際にはSRP(スケーリング・ルートプレーニング)を行なっていきます。

SRP後に気を付けること

38,500点を超える歯 痛いのストックフォト、写真、そしてロイヤリティフリーの画像 - iStock

  • 口腔内(お口の中)の不快感や疼痛が少し生じる場合がありますが、通常2〜3時間で軽減します。痛みが何日も続く場合はかかりつけの歯医者さんに相談してください。
  • 知覚過敏が一時的に起こることがありますが、プラークコントロールを励行することで徐々に軽減します。
  • 歯磨きは優しい力で行い、歯茎の近くをマッサージするような感覚で行ってください。
  • 術後の来院間隔を短くし、歯周組織の治癒を慎重に確認することも大切です。

SRP治療は予防歯科の重要な一環であり、定期的なメンテナンスとして受けることをおすすめします。

SRPのQ&A

Q.スケーリング・ルートプレーニング(SRP)は痛い?

歯科衛生士による局所麻酔行為に対する見解を発表

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)では歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目)の奥深いところまで操作をおこなわないといけないため、場合によって痛みを伴う場合があります。
そのためあらかじめ痛みが予想される場合は、局所麻酔の処置をおこなって治療を進めていきます。また女性の方は痛みに強いため麻酔をされない方が多々いますが痛みに弱い方はあらかじめ伝えていただくと局所麻酔を行えますし途中で痛みに耐えられなくなった場合でも局所麻酔を行うことも可能です。また歯石の量が多い、もしくは歯周ポケットが深いケースでは、SRPの処置後にも多少の痛みや違和感を覚える場合があります。ただ症状は施術後2ー3時間程度で軽減し、1ー2日後には元の状態へ戻ります。

Q.スケーリング・ルートプレーニング(SRP)を行った日の歯磨きはどうしたらいいの?

SRPどの歯磨き

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)の処置後、特に痛みなどがなければいつも通り歯磨きを行ってのらうのが一番いいです。ただスケーリング・ルートプレーニング(SRP)をおこなった部位に関してはいつも通り磨きを行うと出血がみられますがその出血は悪い血の為、気にせず歯磨きをしてください。もし痛みや違和感のある場合は、柔らかめの歯ブラシで優しく歯を磨き、症状が落ち着いてから通常の歯磨きをおこなってください。

Q.歯がしみみるけど大丈夫ですか?

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)の処置をおこなうと、冷たいものが歯にしみる症状がでる場合があります。これを知覚過敏症と言います。

ただ一時的なものがほとんどで、決して歯が悪くなったわけではないので安心してください。

まずは1週間ほど様子をみて、それでも症状が変わらない場合は歯科医師に相談してみましょう。

Q.スケーリング・ルートプレーニング(SRP)はどのような患者さんにするものですか?

歯周病はすぐそこに!!! | 聖栄歯科医院・矯正歯科

あまりなじみのない言葉かもしれませんが、SRPは歯周病が中等度に進行している患者様に対して行う歯石除去の処置の1つです。 歯ぐきの状態にもよりますが、歯周ポケット検査(歯と歯ぐきの境目)での数値が約4ミリ以上あればSRPを行う必要があります。

 

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