石野歯科医院
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コラム

歯周病と糖尿病の関係

2024.06.03

糖尿病とは

糖尿病とは血液中のブドウ糖(血糖)が増え、血糖値が高くなってしまう病気です。
糖尿病に大きく関係するのが、インスリンというホルモンです。インスリンは、ブドウ糖を血液中から細胞の中に取り込み血糖値を下げてくれる働きをしています。しかしそのインスリンの作用が弱くなったり、インスリン自体が不足してしまうことで起きる高血糖がすなわち糖尿病です。糖尿病は無症状で気づかない間に進行することが多く、最悪の場合失明、腎不全、足壊疽、脳梗塞、心筋梗塞など様々な合併症に繋がります。世界的な糖尿病の人口3億8200万人と言われており、日本国内の糖尿病が強く疑われる方は950万人いらっしゃいます。
糖尿病と予備軍をあわせると、確率は日本人の5人に1人にあたり、いつ誰がなってもおかしくない疾患です。

糖尿病の症状

糖尿病の症状

  • 血糖値が高い場合に見られやすい症状
    • 口の渇き、のどの渇き、水分をたくさん飲む
    • 尿の量が多い(多尿)、トイレが近い
    • 疲れやすい、だるい、倦怠感
    • 気持ち悪い、吐き気、嘔吐、頭痛
    • 体重減少

血糖値が高い状態が続いている状態での合併症

      • 手足の感覚が鈍くなる、排尿・排便障害、勃起障害(糖尿病性神経障害)
      • 視力の低下(糖尿病性網膜症)
      • 腎臓の機能の低下、むくみ(糖尿病性腎症)
      • 動脈硬化が進む
      • 免疫システムの機能低下(特に、細胞性免疫の低下)

合併症が進行した場合

  • 足に潰瘍ができ、壊死して切断しなければならなくなる(糖尿病足病変)
  • 皮膚軟部組織感染症や結核にかかりやすくなる
  • 突然の失明(糖尿病性網膜症による硝子体出血や網膜剥離のため)
  • 腎臓の機能が低下して透析が必要になる
  • 心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症になりやすくなる

糖尿病は血糖コントロールが重要

糖尿病は慢性的に血糖値が高くなる疾患です。糖尿病は発症してすぐは自覚症状はありませんが、合併症を起こすと痛みや痺れなどの他に、感覚が鈍くなりケガがしやすくなる、さまざまな感染が起きやすくなるなどが挙げられます。また、腎臓の病気が進んでしまうと人工透析が必要になることもあり、生活も制限されるようになります。

糖尿病について詳しくはこちら ➡

歯周病と糖尿病の関係性

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歯周病には炎症が歯肉に限局した「歯肉炎」と、歯を支えている歯槽骨が破壊されて歯を失ってしまう「歯周炎」があります。上記のチェック項目のように歯ブラシの際の出血、歯茎の違和感、口臭が気になるなどの症状が当てはまると、「歯周炎」の可能性が高く、歯科医院での治療が必要となります。
歯周病は糖尿病と相互に悪い影響を及ぼします。糖尿病をお持ちの方では歯周病が悪化しやすく、歯周病があると糖尿病にとって重要な血糖コントロールが難しくなることがわかっています。

歯周病は糖尿病の合併症の一つ

歯周病は以前から、糖尿病の合併症の一つと言われており、実際、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いという調査結果が複数報告されています。さらに最近、歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという逆の関係も明らかになってきました。つまり、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられるようになっています。そのため歯周病治療を行うことで糖尿病も改善することも分かってきています。

歯周病が血糖値を高くする原因

出血などがある歯周ポケットからは炎症に関連して化学物質が血管を経由し体内に放出されることで歯周病が糖尿病に影響を与えます。そしてポケットから出て血流にのった炎症関連の化学物質は、体のなかで血糖値を下げるインスリンを効きにくくし、糖尿病を発症・進行しやすくなります。

まずはご自身の口の中をチェックしてみましょう

  • 歯ブラシの時の出血するある
  • 起床時に歯肉に違和感がある、ネバネバする感じがある
  • 口臭が気になる、または指摘された
  • 歯が揺れているように感じる
  • 歯茎がムズムズしてかゆい感じがする
  • 歯茎が浮いた感じがし、腫れぼったい

3つ以上当てはまる方は歯周病の軽度~中程度の疑いがあります。

歯周病とは

歯を失う原因で最も多いのが歯周病といわれています、歯周病とは歯周プラーク(歯垢)の中の歯周病菌がハグキに炎症を起こし、徐々に周りの組織を破壊していく細菌感染症です。痛みなど自覚症状がなく気づかない間に進行するので、別名サイレント・ディジーズ(沈黙の病気)と呼ばれ、症状が進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、歯が抜けてしまいます。

歯周病の進行段階

歯周病は下記イラストのように進行していきます。

歯周病治療 | 名取市(岩沼市生活圏)にある歯医者 おぎはら歯科医院 岩沼警察署より徒歩3分

歯周炎

歯茎が赤く腫れ、歯を磨いたり食事をした際に出血することがあります。歯周ポケットの深さは3mm程度です。

軽度歯周炎

炎症がさらに進み、赤みが増し腫れぼったくなります。歯周ポケットが更に広くなり、出血したり膿が出てくる事があります。また口臭を感じるようになります。歯周ポケットの深さは3~5mm程度です。

中等度歯周炎

歯肉の炎症はますます進み、赤くブヨブヨとした歯肉になります。歯周ポケットでの炎症により歯根膜、歯槽骨が先端部から溶けてきます。歯を支えている骨が溶けていくことで歯がぐらつくようになります。歯周ポケットの深さは5~7mm程度です。

重度歯周炎

歯根を支えている歯槽骨がほとんど溶けてしまい、歯根が露出します。歯のぐらつきがひどくなり、硬いものは食べられなくなります。歯周ポケットは7mm以上です。

歯周病の原因はプラーク

歯周病は歯を失う原因の1つで、日本国内では30歳以上の方は7割近くの方が歯周病や歯肉炎と認められており、患者の割合は年齢とともに増加します。歯周病の原因は歯の表面に付着している「プラーク」、いわゆる磨き残しの歯垢を表します。プラークは歯の表面に細菌が被膜を形成しバリアとなっており、「バイオフィルム」とも呼ばれます。このバイオフィルムは水や洗口剤などで口をすすぐだけでは取り除くことはできませんが、歯磨きで簡単に取り除けるため、ブラッシングが最も大切になります。

歯肉縁上プラーク(歯垢)と歯肉縁下プラーク(歯垢)

阿倍野区 歯医者 歯肉 縁上歯石 縁下歯石

歯肉縁上プラークは歯の見えている部分(歯冠部)についているプラークのことです。プラークに含まれている細菌が作り出す酸は、ムシ歯の原因となり、歯と歯茎の境目についたプラークは、歯周病の原因になりやすいです。歯肉縁下プラークは歯周病が進行して形成され歯根部につくため、肉眼で確認するのは難しいプラークです。
歯周病菌は酸素を嫌う細菌(嫌気性細菌)なので、歯周ポケットの中の酸素が非常に少ない状態を好み、バイオフィルムといわれる強固な塊を作って定着しているのです。これらの細菌は、中~重度の歯周病である歯周炎の発症や進行に関係し、また歯周炎を発症、進行させる力には歯周病菌の毒素も関与しています

プラーク(歯垢)と歯石の違い

上の歯 奥歯頬側 下の歯 前歯舌側

歯垢)は白色または黄白色をした粘り気のある物質で、むし歯や歯周病の原因となる細菌や代謝物のかたまりです。1mgの歯垢の中に、1億個以上の細菌が存在すると言われています。プラークは食べカスが歯の表面に8時間ほど残り続け、それを栄養源として細菌が繁殖を始めたものです。プラークは主に歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目、奥歯の噛み合わせ部分などにつきやすく、歯並びに問題がある場合は歯と歯の重なった部分にも歯垢が付着しやすくなります。そして歯石はプラークがさらに石灰化した状態のもので、歯石は石灰化したものなので硬くザラザラしており自身で取り除くことができません。さらに歯石の表面には細かい凹凸があり、より歯垢をつきやすくさせ歯周病の原因にもなります。歯石がつきやすい箇所は主にプラークが付着しているところですが、特に唾液腺開口部の近くは注意が必要です。下の前歯の裏側、そして上の奥歯の外側ですが、これらの部位は歯ブラシが届きにくく磨き残しをしやすく、気がつくと歯石が溜まっていることが多いです。

歯周病菌は内毒素をまき散らす

内毒素とは?

細菌の細胞壁に含まれる毒物のことをいい、細菌が死滅しても毒は残ります。別名エンドトキシンとも呼ばれます。

歯周病の治療による血糖コントロールへの影響歯周病菌はプラークの中に含まれる細菌で酸素うぃ嫌うため歯肉内に入り込み、歯肉から容易に血管内に侵入し全身に回ります。血管に入った細菌は体の力で死滅しますが、歯周病菌の死骸の持つ内毒素は残り血糖値に悪影響を及ぼします。血液中の内毒素は、脂肪組織や肝臓からの血液中の糖分の取り込みを抑える働きもあるため、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔してしまうTNF-αの産生を進めていきます。歯周病を合併した糖尿病の患者さんに、抗菌薬を用いた歯周病治療を行ったところ、血液中のTNF-α濃度が低下するだけではなく、血糖値のコントロール状態を示すHbA1c値も改善するという結果が発表されています。

歯周病は骨まで溶かしてしまう

プラークはほとんどが細菌で構成されており、その細菌の中には歯周病原菌も含まれています。歯と歯肉の隙間、「歯周ポケット」に歯周病の原因となる細菌が少しずつ増殖することで、歯茎が炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かしてしまいます。歯周ポケットが深くなるほど歯を支える骨が失われ、歯は次第に揺れ始め最後は支えきれずに抜歯に至ってしまいます。歯を失うことで食べ物を噛む力が弱くなったり、発語しにくくなる、表情が変わる(老ける)などのリスクがあります。

歯周病を改善するための治療

プラークコントロール

歯周病の予防や治療の基本となるのがプラークコントロールです。プラークコントロールとは歯周病の原因である歯垢(プラーク)の増殖を抑えることに重点を置いた治療法で、正しい歯磨きの仕方や歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使用することでプラークコントロールをする事が歯周病予防に繋がります。

スケーリング & ルートプレーニング

歯垢は時間が経てば歯磨きでは取り除くことができないほど固くやがて歯石になり、歯石は歯周病菌の棲家となるため、早めに取り除くことが重要です。歯石・プラークを除去し、再び付着しづらくする治療法がスケーリング&ルートプレーニングといいます。歯磨きでは取り除けない歯石はもちろん、取り除けていない歯垢(プラーク)を歯医者で除去することによって炎症が収まっていき、歯周ポケットの深さも浅くなりますので、歯周病の進行を抑え、症状の改善が期待できます。

詰め物や被せ物の修正治療

詰め物や被せ物に隙間など不適合な部分があると、歯垢が付着しやすく、歯磨きで除去する事が取り除くことが難しくなるため、補綴物が合っているか確認し、合っていなければ修正する治療を行います。補綴物をしっかり合わせるだけで、歯垢が付着しづらくなり、また付着した歯垢を取り除きやすくなるため、歯周病の進行予防や、症状の改善が期待できます。

生活習慣の改善

歯周病になりやすい方の特徴は喫煙さえている方やストレスなどいくつかあり、病気、睡眠不足など抵抗力が落ちているときは歯周病菌に感染しやすくなります。十分な睡眠、適度な運動、ストレス解消は歯周病を治療していくうえで欠かせません。また食事の際、よく噛んで食べるなど食生活を見直す事は歯周病予防の他、同時に糖尿病予防にも繋がります。

 

歯周病を改善することで血糖値の改善が可能

歯周病と糖尿病は密に関連しているため、歯周病の治療をすることで血糖コントロールの改善も可能という研究成果が数多く報告されています。歯周病の治療は、患者さん自身のブラッシングによるプラークコントロールをしっかり行い、歯科医院で炎症の原因となっている歯石を確実に取り除くことです。そうすることで歯肉の炎症をコントロールできればインスリンが効きやすくなり、血糖コントロールも改善します。しかし全ての症例にて必ずしも血糖値が低下するというわけではないですが、歯周病は糖尿病以外にも様々な疾患を発症、影響与えるため定期的にメインテナンスを行い口腔内を清潔に保ちましょう。

歯周病になりやすい方

歯周病になりやすい方は主に以下のような方があげられ、不規則な生活習慣などが関係しています。

ご自身でできるセルフケア

デンタルフロスの活用

歯間部の歯垢(プラーク)除去率

歯と歯の間の歯垢(プラーク)には、デンタルフロスがおすすめです。ハブラシと併用することで、歯垢(プラーク)の除去率は約1.5倍になります。今は様々なタイプのデンタルフロスがあるので、使いやすいものを選びましょう。

毎日の丁寧な歯磨き

歯周病の予防には、毎日の丁寧な歯磨きが最も重要です。歯周病の原因菌は歯周ポケット内の歯垢(プラーク)に生息しています。歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの間に45度の角度で当て、5mm程度に細かく小刻みに動かしながら、歯垢をしっかりと取り除きましょう。歯と歯ぐきの境目を重点的にブラッシングすることで、歯周病の予防に役立ちます。

歯ブラシで磨きにくいところは歯ブラシの工夫を

先述のように歯石や歯垢はどうしても気づかない間に蓄積していきます。そのため通常の歯ブラシとは別にタフトブラシという毛束が一本の纏まっている歯ブラシの使用がおすすめです。

最後に

ここまでコラムを読んでいただきありがとうございます。生活習慣病の一つである糖尿病は歯周病と深い関りをもっているため、歯周病の進行を抑えるためにも、ご自宅でのセルフケアはもちろん、定期的なメインテナンスを行い、歯周病予防に努めましょう。当院では安心してご来院頂けるように、お口の状況・治療内容など詳しく検査し、事前にご説明した上で、患者様が安心して治療を受けていただけるようにサポートさせていただきます。お口に関するお悩みやご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。

 

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